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屋根の重ね葺きとは?メリット・デメリットや費用相場まで徹底解説!
2023.10.10
屋根工事を検討していると「重ね葺きとはどんな工事なの?」「どれくらい費用がかかるの?」と疑問をもたれる方も多いと思います。
そこで本記事では重ね葺き工事の概要やメリット・デメリット、工事費用などについて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
屋根の「重ね葺き」とは「カバー工法」とも呼ばれ、既存の屋根の上から新しい屋根を設置するリフォーム方法のことです。一度既存の屋根をすべて撤去して新しい屋根を設置する「葺き替え」に対して、既存の屋根は撤去せずに上からかぶせる形で新しい屋根を設置します。
重ね葺きはどんな屋根でも工事ができるわけではなく、既存の屋根の劣化状態によってできる場合とできない場合があります。屋根のサビや軽微のひび割れ、下地の傷みが少ない場合などであれば工事が可能です。重ね葺きを検討する場合には実際に今の屋根の状態を専門業者に診断してもらうことをおすすめします。
重ね葺きができる屋根材は以下の通りです。
・スレート屋根
・金属屋根(ガルバリウム屋根など)
・アスファルトシングル屋根
重ね葺きができる屋根の特徴は①軽量であること、②平らな屋根であることです。
重ね葺きをすると屋根が二重になるため、その増えた重さ分が建物への負担となります。そのため、すでに重量の重い屋根の場合は建物への負担がさらに増えてしまうので重ね葺きができない場合があります。
また、重ね葺きは上から重ねる方法なので既存の屋根が平らでなければうまく重ねることができません。そのため、既存の屋根がでこぼこしていたり、波状になっている場合などは重ね葺きができません。
上記の理由から日本瓦やセメント瓦などの瓦屋根は重ね葺きができません。自宅の屋根材がどれに当てはまるのかを確認し、施工業者と相談するようにしましょう。
重ね葺きでよく使われる屋根材はガルバリウム鋼板という金属屋根です。ガルバリウム鋼板は軽量素材であるだけではなく、耐熱性・耐久性に優れており、30年以上の耐用年数があるので長く家を守ってくれます。
つづいては重ね葺き工事のメリットを紹介します。
・工事費用が安い
・工事期間が短い
・断熱性・防音性が上がる
重ね葺きは既存の屋根の上から新しい屋根を設置するだけなので、既存屋根を解体および処分する際の人件費や廃材処分費用がかかりません。そのため、その分費用が安くなります。
屋根の葺き替え工事の費用が160万〜200万円なのに対して、重ね葺きの費用は150万〜180万円ほどで約10万〜20万円が安くなります。
新しい屋根を上から重ねることで屋根が二重になるため、屋外の騒音が屋内に伝わりにくくなります。また、屋根が厚くなるので屋内の温度が外に逃げにくくなり、断熱性も上がります。ただし、これらの効果は本格的な防音工事や断熱工事に比べるとかなり劣るので、効果はほとんどないと考えておくほうが良いでしょう。
古いスレート屋根には今でもがんの原因となりうるアスベスト(石綿)が使用されているものがあります。アスベストが含まれている屋根を解体・撤去する場合には、工事費用とは別にアスベストの処理費用が20万〜50万円ほど追加でかかってきてしまいます。
しかし、重ね葺きの場合は既存屋根の解体・撤去はしないため、たとえアスベストが含まれた屋根であっても追加費用はかかりません。
つづいては重ね葺き工事のデメリットを紹介します。重ね葺きはメリットよりもデメリットのほうが多く一般的にはおすすめされないので、デメリットを正しく把握しておきましょう。
・屋根の下地補修ができない
・工事後のメンテナンスが高額になる
・家の耐震性が下がる可能性がある
・火災保険が使えない
・瓦屋根は施工できない
既存の屋根の上から新しい屋根を設置する工法なので、屋根を撤去しないとわからない下地部分に腐食や重度の劣化症状があったとしても直すことができません。
家の築年数が浅く、下地部分に懸念がなければ重ね葺きは選択肢に入れても良いですが、下地部分にすでに腐食がある場合などは重ね葺きをしても劣化症状がそのままなのでどんどん進行してしまいます。
最初から下地補修までしっかりと行えばこの費用はかからないので、長期的なことを考えると葺き替え工事のほうがおすすめです。
家は建物の総重量が重ければ重いほど地震で揺れやすくなります。重ね葺きの場合は屋根が二重になるため、建物への負荷が増して家の耐震性が下がってしまいます。
重ね葺きではできるだけ建物への負荷を減らすために軽量素材の屋根材しか設置できません。選べる屋根材の種類が少ないのも特徴です。
主に風災や雪災などの自然災害が要因で屋根が損傷し、それを「元の状態に戻す工事」をする場合に火災保険がおります。
しかし、重ね葺きの場合は損傷した屋根の上から新しい屋根を設置する工事になるため、「元の状態に戻す工事」には当てはまらないとされて火災保険がおりないことが多いです。
重ね葺きは既存の屋根の上に新しい屋根を設置するため、瓦屋根のように屋根の形状が波型であったり、厚みがあって釘が通らない場合には設置するのが難しくなります。瓦屋根の場合は葺き替え工事が一般的です。
重ね葺きの工事費用は一般的な30坪の住宅の場合に150万〜180万円ほどです。しかし、この費用はいくつかの理由によって変動します。重ね葺きの費用が変動する要因は以下の3つです。
・屋根の大きさ
・屋根材などの建材の種類
屋根工事は面積が広くなるほど工事範囲が広がるため、リフォーム費用が高くなります。例えば屋根の面の数が2つの切妻屋根と4つの寄棟屋根では寄棟屋根の方が面積が大きくなるので費用が高いことが多いです。また、屋根の形状が通常よりも複雑な形になっている場合などは足場が組みづらかったりと工事自体も複雑になるケースがあるため、費用が高くなってしまいます。
また、新しく設置する屋根材や防水シートなどのグレードを高くする場合はその分費用が上がります。グレードを上げることで機能性も高くなるため、機能性を優先するか、安さを優先するかについて検討しておくようにしましょう。
最後に重ね葺きが向いている場合と向いていない場合についてまとめます。重ね葺きをご検討の方はぜひ正しく把握しておきましょう。
・費用を安く抑えたい場合
・築年数が浅く、屋根の劣化症状が軽微である場合
・10年後くらいに解体・建て替え予定である場合
「リフォームはしないといけないが費用をとにかく抑えたい」という人には重ね葺きはおすすめです。
また、重ね葺きは下地の補修ができないため、比較的築年数が浅く、下地に問題がない状態や屋根の劣化症状が軽微である場合であれば重ね葺きが良いでしょう。
重ね葺きは上から新しい屋根をかぶせてしまうため、メンテナンスや大規模な修繕がしにくくなります。そのため、今後10年〜15年後に解体・建て替えを予定している建物であれば一時的な工事として重ね葺きをすることもあります。
・住宅の耐震性が不安である場合
・金属屋根以外の屋根材を使いたい場合
・将来的に増築・改築などの予定がある場合
重ね葺きでは建物の総重量が増えることで家の耐震性がやや下がるため、現在の住宅が地震でよく揺れる場合などには重ね葺きはやめておきましょう。また、重ね葺きでは多くが金属屋根を取り付けることになるので、金属屋根以外のスレート屋根や瓦屋根などの別の屋根材を使用したい場合は重ね葺きは避けたほうが良いでしょう。
さらに将来的に家の増築や改築を考えている場合に重ね葺きをしてしまうと、増改築工事の際に2重の屋根を剥がすことになるため、通常よりも費用がかかってしまいます。
屋根の工事を検討する際には、長期的な視点で「その住宅を長く使うのかどうか」「その住宅を今後どのように使っていくか」をしっかりと考えた上で工事を決めるようにしましょう。
本記事では重ね葺きの工事内容や費用相場、メリット・デメリットなどについて解説してきました。結論として重ね葺きはデメリットが多いのであまりおすすめはできません。ただし、安さを重視する場合や今の住宅の老朽化が進んでいない場合などは検討の余地がありますので、ぜひ弊社にご相談ください。
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そこで本記事では重ね葺き工事の概要やメリット・デメリット、工事費用などについて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
重ね葺きとは?
屋根の「重ね葺き」とは「カバー工法」とも呼ばれ、既存の屋根の上から新しい屋根を設置するリフォーム方法のことです。一度既存の屋根をすべて撤去して新しい屋根を設置する「葺き替え」に対して、既存の屋根は撤去せずに上からかぶせる形で新しい屋根を設置します。重ね葺きはどんな屋根でも工事ができるわけではなく、既存の屋根の劣化状態によってできる場合とできない場合があります。屋根のサビや軽微のひび割れ、下地の傷みが少ない場合などであれば工事が可能です。重ね葺きを検討する場合には実際に今の屋根の状態を専門業者に診断してもらうことをおすすめします。
重ね葺きができる屋根・できない屋根
ここでは重ね葺きができる屋根とできない屋根について解説します。重ね葺きができる屋根材は以下の通りです。
・スレート屋根
・金属屋根(ガルバリウム屋根など)
・アスファルトシングル屋根
重ね葺きができる屋根の特徴は①軽量であること、②平らな屋根であることです。
重ね葺きをすると屋根が二重になるため、その増えた重さ分が建物への負担となります。そのため、すでに重量の重い屋根の場合は建物への負担がさらに増えてしまうので重ね葺きができない場合があります。
また、重ね葺きは上から重ねる方法なので既存の屋根が平らでなければうまく重ねることができません。そのため、既存の屋根がでこぼこしていたり、波状になっている場合などは重ね葺きができません。
上記の理由から日本瓦やセメント瓦などの瓦屋根は重ね葺きができません。自宅の屋根材がどれに当てはまるのかを確認し、施工業者と相談するようにしましょう。
重ね葺きに向いている屋根材
建物の耐震性の観点から重ね葺きをする際に新しく設置する屋根材は軽量素材のものに限られます。重ね葺きでよく使われる屋根材はガルバリウム鋼板という金属屋根です。ガルバリウム鋼板は軽量素材であるだけではなく、耐熱性・耐久性に優れており、30年以上の耐用年数があるので長く家を守ってくれます。
重ね葺きのメリット
つづいては重ね葺き工事のメリットを紹介します。
・工事費用が安い
・工事期間が短い
・断熱性・防音性が上がる
工事費用が安い
屋根の重ね葺き工事の最大のメリットは工事費用を安く抑えられるという点です。重ね葺きは既存の屋根の上から新しい屋根を設置するだけなので、既存屋根を解体および処分する際の人件費や廃材処分費用がかかりません。そのため、その分費用が安くなります。
屋根の葺き替え工事の費用が160万〜200万円なのに対して、重ね葺きの費用は150万〜180万円ほどで約10万〜20万円が安くなります。
工事期間が短い
重ね葺きのメリット2つ目は、工事期間が短いことです。葺き替え工事は重ね葺きに比べて工事工程が少ないのでその分工事が早く終わります。葺き替えの工期が6〜8日間なのに対して重ね葺きは5日間となっており、1〜3日は短縮できるでしょう。断熱性・防音性が上がる
重ね葺きのメリット3つ目は、断熱性・防音性が上がるという点です。新しい屋根を上から重ねることで屋根が二重になるため、屋外の騒音が屋内に伝わりにくくなります。また、屋根が厚くなるので屋内の温度が外に逃げにくくなり、断熱性も上がります。ただし、これらの効果は本格的な防音工事や断熱工事に比べるとかなり劣るので、効果はほとんどないと考えておくほうが良いでしょう。
アスベストの処理費用がかからない
重ね葺きのメリット4つ目は、アスベストの処理費用がかからないという点です。古いスレート屋根には今でもがんの原因となりうるアスベスト(石綿)が使用されているものがあります。アスベストが含まれている屋根を解体・撤去する場合には、工事費用とは別にアスベストの処理費用が20万〜50万円ほど追加でかかってきてしまいます。
しかし、重ね葺きの場合は既存屋根の解体・撤去はしないため、たとえアスベストが含まれた屋根であっても追加費用はかかりません。
重ね葺きのデメリット
つづいては重ね葺き工事のデメリットを紹介します。重ね葺きはメリットよりもデメリットのほうが多く一般的にはおすすめされないので、デメリットを正しく把握しておきましょう。
・屋根の下地補修ができない
・工事後のメンテナンスが高額になる
・家の耐震性が下がる可能性がある
・火災保険が使えない
・瓦屋根は施工できない
屋根の下地補修ができない
屋根の重ね葺きの最大のデメリットは、屋根の下地補修ができないことです。既存の屋根の上から新しい屋根を設置する工法なので、屋根を撤去しないとわからない下地部分に腐食や重度の劣化症状があったとしても直すことができません。
家の築年数が浅く、下地部分に懸念がなければ重ね葺きは選択肢に入れても良いですが、下地部分にすでに腐食がある場合などは重ね葺きをしても劣化症状がそのままなのでどんどん進行してしまいます。
工事後のメンテナンスが高額になる
屋根の重ね葺きのデメリット2つ目は、工事後のメンテナンスが高額になるという点です。重ね葺きの工事が完了した後に再度屋根の工事が必要になった場合、二重になっている屋根を剥がして補修していくことになります。屋根を1層剥がすのと2層剥がすのとでは工事時間も手間もかかるのでその分工事費用が高くなってしまいます。最初から下地補修までしっかりと行えばこの費用はかからないので、長期的なことを考えると葺き替え工事のほうがおすすめです。
家の耐震性が下がる可能性がある
屋根の重ね葺きのデメリット3つ目は、家の耐震性が下がる可能性があるという点です。家は建物の総重量が重ければ重いほど地震で揺れやすくなります。重ね葺きの場合は屋根が二重になるため、建物への負荷が増して家の耐震性が下がってしまいます。
重ね葺きではできるだけ建物への負荷を減らすために軽量素材の屋根材しか設置できません。選べる屋根材の種類が少ないのも特徴です。
火災保険が使えない
屋根の重ね葺きのデメリット4つ目は、火災保険が使えないという点です。主に風災や雪災などの自然災害が要因で屋根が損傷し、それを「元の状態に戻す工事」をする場合に火災保険がおります。
しかし、重ね葺きの場合は損傷した屋根の上から新しい屋根を設置する工事になるため、「元の状態に戻す工事」には当てはまらないとされて火災保険がおりないことが多いです。
瓦屋根は施工できない
屋根の重ね葺きのデメリット5つ目は、瓦屋根は施工できないという点です。重ね葺きは既存の屋根の上に新しい屋根を設置するため、瓦屋根のように屋根の形状が波型であったり、厚みがあって釘が通らない場合には設置するのが難しくなります。瓦屋根の場合は葺き替え工事が一般的です。
重ね葺きの費用相場
重ね葺きの工事費用は一般的な30坪の住宅の場合に150万〜180万円ほどです。しかし、この費用はいくつかの理由によって変動します。重ね葺きの費用が変動する要因は以下の3つです。・屋根の大きさ
・屋根材などの建材の種類
屋根工事は面積が広くなるほど工事範囲が広がるため、リフォーム費用が高くなります。例えば屋根の面の数が2つの切妻屋根と4つの寄棟屋根では寄棟屋根の方が面積が大きくなるので費用が高いことが多いです。また、屋根の形状が通常よりも複雑な形になっている場合などは足場が組みづらかったりと工事自体も複雑になるケースがあるため、費用が高くなってしまいます。
また、新しく設置する屋根材や防水シートなどのグレードを高くする場合はその分費用が上がります。グレードを上げることで機能性も高くなるため、機能性を優先するか、安さを優先するかについて検討しておくようにしましょう。
重ね葺きが向いている場合、向いていない場合
最後に重ね葺きが向いている場合と向いていない場合についてまとめます。重ね葺きをご検討の方はぜひ正しく把握しておきましょう。
重ね葺きが向いている場合
重ね葺きが向いている場合は以下の3点です。・費用を安く抑えたい場合
・築年数が浅く、屋根の劣化症状が軽微である場合
・10年後くらいに解体・建て替え予定である場合
「リフォームはしないといけないが費用をとにかく抑えたい」という人には重ね葺きはおすすめです。
また、重ね葺きは下地の補修ができないため、比較的築年数が浅く、下地に問題がない状態や屋根の劣化症状が軽微である場合であれば重ね葺きが良いでしょう。
重ね葺きは上から新しい屋根をかぶせてしまうため、メンテナンスや大規模な修繕がしにくくなります。そのため、今後10年〜15年後に解体・建て替えを予定している建物であれば一時的な工事として重ね葺きをすることもあります。
重ね葺きが向いていない場合
一方で重ね葺きが向いている場合は以下の3点です。・住宅の耐震性が不安である場合
・金属屋根以外の屋根材を使いたい場合
・将来的に増築・改築などの予定がある場合
重ね葺きでは建物の総重量が増えることで家の耐震性がやや下がるため、現在の住宅が地震でよく揺れる場合などには重ね葺きはやめておきましょう。また、重ね葺きでは多くが金属屋根を取り付けることになるので、金属屋根以外のスレート屋根や瓦屋根などの別の屋根材を使用したい場合は重ね葺きは避けたほうが良いでしょう。
さらに将来的に家の増築や改築を考えている場合に重ね葺きをしてしまうと、増改築工事の際に2重の屋根を剥がすことになるため、通常よりも費用がかかってしまいます。
屋根の工事を検討する際には、長期的な視点で「その住宅を長く使うのかどうか」「その住宅を今後どのように使っていくか」をしっかりと考えた上で工事を決めるようにしましょう。
まとめ
本記事では重ね葺きの工事内容や費用相場、メリット・デメリットなどについて解説してきました。結論として重ね葺きはデメリットが多いのであまりおすすめはできません。ただし、安さを重視する場合や今の住宅の老朽化が進んでいない場合などは検討の余地がありますので、ぜひ弊社にご相談ください。ガイソーでは無料で見積もり相談を受けつけています。屋根工事を考えている方はぜひ一度お問い合わせください。最適な屋根工事のプランをご提案いたします。
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